トップページ > 環境経営 > オペレーションマネジメント > 組織に“善い習慣”を付ける
どのような企業組織においても「経営」と「現場」、「組織」と「人」の間には隙間があります。存在そのものがコストである組織には付いて回る性(サガ)のようなものですが、このところの日本の企業を見ていて問題なのは、この2つが近づいている企業と、さらに隙間が拡がっている企業に二極分化して行っていることです。今も続く一連の相次ぐ企業不祥事(不正の隠匿)の発覚から今日までのプロセスを見てください。如実に隙間の拡大を示しています。
多くの企業がこの隙間を埋めようと努力しています。しかしながらそれは、時間を掛けての新たな企業・事業ビジョンの策定に始まり、次世代のリーダ育成のためのジュニア経営ボードの制定、「現場」への徹底した権限委譲等であり、一方で「経営」側(社長自ら)が「現場」を回ると言う形もしばしば見られます。しかし、これらが効果的な結果をもたらすことはまれです。
これらの施策ではスピード重視の時代での必要条件である即効性など夢のまた夢です。なぜなら、座学では、“現場の問題点を自己の問題として捉え、即座に反応することができる感受性”など身につくはずがないからです。また、「現場」を熟知したトップがミッションやメッセージを持って回るのならまだしも、1・2回程度「現場」回ったところで、本音を拾い上げることも、「現場」自身ですら気づいていない本当の問題点を見つけることは不可能です。基本的に「現場」の問題は「現場」でしか解決できないのです。
そしてもうひとつ、うまく行かない理由として挙げられるのが、一度に全方位的な施策を展開したがる日本企業の悪い体質です。「構造改革何カ年計画」「全社改革推進委員会」といった、「経営」発(トップダウン)のみの戦略がうまく行った経験を持つ企業は少ないと思います。まさに、机上のP・D・C・Aの極みです。一度は回ることがあっても二度とは回りません。
その一方で、とある地方大手スーパーでは、やり尽くしたと思われたエネルギー効率の改善に悩んだ結果、それまでのオペレーションを捨て、パートを含めた従業員、つまり「現場」を巻き込む形で行ったところ、「現場」発の要改善箇所が500項目以上が挙がり、これらを「現場」と一体になって徹底して改善していった結果、電気使用量(=CO2 の排出量)の10%削減は言うまでもなく、ガス(空調)使用量も最大需要期の夏場に対前年費で50%削減につながりました。
問題発見(Problem Finding)、問題点の見える化(Display)、成果の検証(Check)、新たな行動(Action)と言う「現場」発の新たなP・D・C・Aが回った瞬間でした。ひとつのことが徹底して出来る「現場」は、「現場」と「経営」の隙間の少ない強い組織です。つまり、「現場力」が強いといえるのです。

こうした「現場」発の改善活動の大きな成果は自信をもたらし、店頭での環境イベントに発展し、ついには売り上げの増加にも貢献するようになりました。
エネルギーの無駄に気づいた「現場」での改善活動は、サービスの質の劣化に対する気付きにつながり、それが消費者の幸せにつながり、社会に貢献できることであるという気付きにつながります。まさに、組織に“善い習慣”(A・B・C・D)が付いた結果です。
このように、競争力のある強い組織を作るためにはまず、ひとつのことが徹底してできる組織であり、「現場」を作ればいいのです。それは、当たり前のこと【A】 を、馬鹿に【B】なって(一所懸命になってと言う意味で)、ちゃんと【C】、やり続けることが出来る【D・・ディール】職場です。これをして、A・B・C・Dの「現場」と言います。

現場発のオペレーションの改善によるエネルギー&コストマネジメントは数ある経営戦略の中で、「経営」と「現場」、「組織」と「人」の間の隙間を埋めるには最高のミッションのひとつとなります。一番の理由は、取り組みやすく、結果が明確に出て、しかも即効性があるためです。
オペレーションマネジメントを通じて環境負荷低減と生産性アップの二兎を追うことで、「経営」からの指示や降りてくる数字に対して常に自らの考えを持った極めてポジティブな経営的視点の人材が「現場」に増えるのです。言うまでもなく、組織のモチベーションも高まり、“善い風土”の職場へとつながっていきます。